槇野進也YOGAダイアリー
ヨガ指導者がつづる 健康と幸せの流れに乗るブログ
DATE: 2010/11/08(月)   CATEGORY: 本と映画
映画『玄牝』

 久しぶりに劇場で映画を観ました。
ドキュメンタリー映画『玄牝』。
河瀬直美監督最新作。




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 タイトルは「げんぴん」と発音するのですが、
老子の言葉だそうです。




 ―――谷神(こくしん)は死せず。これを玄牝という
 「大河の源流にある谷神は、とめどなく生命を生み出して尽きることはない。
これを玄牝…“神秘なる母性”と呼ぶ」
と、書かれていました。




 「ふ~む」とつぶやくしかなかったのですが(笑)、
心ひかれるタイトルです。






 現在の赤ちゃんは、まぶしく冷たくチリひとつないような手術室で産まれてきます。
ソクシンザイの使用、テイオウセッカイなどの介入が高い頻度で行なわれています。




 そういった状況のなか、『自然分娩』というお産のあり方を提唱する人々もいます。
私は男ですが『地球交響曲』という映画をきっかけに、
このことに興味を抱くようになりました。
自然分娩では、もはや伝説ともいえる場所にカメラが入っていきます。
そこは愛知県岡崎市、うっそうとした木々に囲まれた吉村医院。
出演者は吉村正医師とそこに集う人々です。




 哲人のような風貌の吉村氏、
そして出産に向けて輝きを増す妊婦たち。
 巡る命、お産という矛盾に満ちた奇跡、
カメラは私たちの五感に訴えかけるように、
まっすぐに映し出していきます。




 素晴らしい映画でした!
ただ単純に自然分娩や吉村氏を賞賛する
切り口でないことも良かったと思います。


 そこには、生と隣り合わせにある死というものにも真摯に向かい合い、
葛藤する吉村氏の孤独な姿も描かれています。






 圧巻なのが4つの出産シーンでした。
たたみの上で家族に添われながらいきむ妊婦たち。
そして新しい命が産まれた瞬間にもらす声、
「あたたかい」「きもちいい」「ありがとう」。
体裁や飾りっ気がいっさいない純な言葉でした。
一言一言に心打たれました。
妊婦たちはリアルに美しく、私は涙しました。








関連HP 玄牝オフィシャルサイト




















DATE: 2010/01/12(火)   CATEGORY: 本と映画
『リンゴが教えてくれたこと』 4 観察すること






 「リンゴが実るまで、自分が歩いてきた道が良いのか悪いのか、
だれに問いかけても答えはなく、参考になる書籍もありませんでした」






 こんな木村さんを特徴づける言葉があります。
それは『観察する人』です。
木村さんは畑でたくさんの実験を行い、様々なデーターを取っています。
たくさんの失敗を繰り返し、試行錯誤された結果「奇跡のリンゴ」が生まれたのです。






 農薬をやめた木村さんのリンゴ畑では毎日が虫との戦いでした。
ここでも木村さんは観察しています。
かのファーブルのように虫を、じっと…。




 「 人間で言う肩の辺りに口があるのがわかりました。
気口でした。虫眼鏡でそれを観察しました。
 以前使っていた農薬の粉を溶かして一滴そこに置きました。
すると虫は気口を閉めて体を縮めます。
農薬を散布した隣の畑を見に行くと、
虫は体を縮めて呼吸をしないようにしていました。
死んだと思って満足しているのが人間です。
(中略)教授に聞いてもらったところ、
昆虫専門の先生もそこまで知らないと言われました。
農家の人も知りません 」




 『ファーブル昆虫記』が書かれてから、1世紀以上が経過しました。
その間にも科学は進歩し、宇宙や遺伝子のことならともかく、
木村さんの畑で暴れまわっていた虫のことなど、
とうの昔に解明されているものと私は思っていました。



 
 私は幻想を抱いていたのかもしれません。
専門家や専門書、はたまたインターネット、
どこかに当たれば必要とする知識は
存在しているはずだという幻想を。






 思えばヨーガもインドで生まれ、
数千年にわたり無数のヨーガ行者たちによって実践されてきました。
小宇宙とも称される心身の広大な世界を彼らは観察し続けたのです。




 言葉や文字のみで世界を理解するには限界があります。
真の知恵と言うものは外に求めても見つからないのです。
自らのカラダやココロを駆使して、
観察し、感じ、気づいたものほど尊いものはないのです。






 「自然を観察する目がないと農業はうまくいきません。
歌を忘れたカナリアではありませんが、今の百姓は観察を忘れた百姓です」
と木村さんは警鐘を鳴らしています。
 



 この警鐘、我が事として受け止めたいと思っています。









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木村 秋則

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DATE: 2010/01/08(金)   CATEGORY: 本と映画
『リンゴが教えてくれたこと』 3 土のこと



 万策尽きて、死んでお詫びしようと山に分け入り、木村さんが
そこで見たもの、それは自生するドングリの木でした。




 木村さんは次のように綴られています。


「 とにかくその木は自分のリンゴの木とはまったく違い、
虫の被害もなく、見事な枝を張り、葉を茂らせていました。(中略)
 こんな山の中でなぜ、農薬を使っていないのにこれほど葉をつけるのか。
なぜ虫や病気がこの葉を食いつくさないのか。
その木の前に呆然と立ちすくんでいました。
あたりはなんともかぐわしい土の匂いに満ち溢れ、
肩まである草をかき分けると、足元はふかふかで柔らかく湿気があります。
雨のせいではありません。クッションを敷きつめたような感覚です。
そして突然稲妻に打たれたかのように、『これが答えだ』と直感しました 」




 つまり土をつくればいい、ということだったのです。
バクテリアや菌がしっかり生きている匂いがし、ほんわかと柔らかい土を。
木村さんの新たなチャレンジがはじまったのです。




 木村さんは雑草を刈るのを止め、大豆を蒔きました。
リンゴ畑は草ぼうぼうになり、野うさぎや、イタチ、テン、野ネズミ、そしてミミズの宝庫になりました。そのうち土が変わってきました。試行錯誤はその後も続きます。
害虫が年々いなくなり、病気も少なくなりました。
リンゴの樹が強くなってきたのです。
そして、ついに美しい花を咲かせ、リンゴを実らせるのです。






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 「それまで木の上のことしか見ていませんでした」
木村さんは自省の念を込めて書いています。
枝葉や花や実といった目に見える世界。


 ですが、答えは足元に、土にあったのです。
目に見えない世界。




 これは人の生き方を考えるうえでも、
重要ではないでしょうか。


 人生における花や果実とは、
たとえばビジネスの成功や恋愛の成就、
理想の結婚やお金を得ることかもしれません。


 これらを追い求めて、目に見える世界で起こる
様々な出来事に振り回されがちなのが、私たちの姿なのかもしれません。




 ですが、土壌を豊かに育むことからはじめるとしたらいかがでしょうか。
内面を磨き、浄化すること。
自分の内側の幸福感を日々感じ続けること。
ささやかなことに「ありがとう」と言えること。
瞑想やヨーガもいいですね。










DATE: 2009/12/30(水)   CATEGORY: 本と映画
『リンゴが教えてくれたこと』 2 辛抱すること



 「リンゴは農薬で作る」といわれるほど、病虫害が多い果樹とされてきました。








 木村さんが無農薬のリンゴ栽培に挑んだのは、
農薬散布で自身や家族の体が痛めつけられたことがきっかけでした。






 それから11年後、まぶしい白い陽光に包まれて
リンゴ畑の花が咲く感動的な場面からこの本は始まります。




 しかし、無収穫(無収入)時代が9年も続きました。
畑のリンゴには虫が湧き、葉が落ち、枯れ木のようになりました。
実どころか、花も咲かないのです。
 木村さんは冬の間に北海道へ出稼ぎに、
また夜にはキャバレーや便器磨きのアルバイトをします。
 妻には毎月3千円しか渡せなかったとあります。
畑の雑草を食べ、三人の娘は消しゴムを
3つに分けて使う極貧の生活が続きます。




 娘さんは「お父さんの仕事」という題の作文でこんなことを書いています。
「お父さんの仕事はリンゴづくりです。
でも、私はお父さんのつくったリンゴを一つも食べたことがありません」



 木村さんは当時をこのように綴っています。


「もがけばもがくほど底なし沼に沈んでいくようでした。
やることなすことすべて駄目になって、
私はもう半分気が狂いそうでした。
ノイローゼの状態だったと思います。
電気もつけずに作業小屋に座っていました。
床はコンクリートです。
なんで私がそこに座っていたのか分かりません。
ほとんど毎晩座っていたようです。
女房は怖くて声をかけられなかったようです」






 6年目の夏、木村さんは死を決意します。
死んでお詫びをしようと思ったのです。
3メートルのロープを手にして山の奥へと入っていきました。
 ですが、そこでふと目にしたドングリの木から、
ついに自然栽培のヒントを得るのです。







 


 木村さんが得たヒントとは何か、
それは次回に書きたいと思います。
それにしても11年という年月の長いこと。
これも先駆者が通るべき道なのでしょうか。




 私たちは成功者のきらびやかな姿ばかりを見てしまいがちですが、
そこに至るまでには辛苦のことを忘れてはいけません。
これらの人々は忍耐という美徳を持っているのです。


 

 夢は叶います。
しかし、願ってからそれが現実化するには、どうしても時間差が生じます。 
それを辛抱することができるか、あきらめてしまうか?
ここが分岐点となるのです。



 「石の上に三年」という言葉があります。
じっと辛抱を重ねていれば、いずれ良い結果がもたらされるという意味です。
達磨(だるま)大師は、9年もの間壁に向かって坐禅を組み続け(面壁九年)、
ついに悟りを開いたと言います。



 
 時代はスピードを早め、
お手軽に手に入るものが増え、
そうでないものは遠ざかりました。


 そのようななかで木村さんは11年間!長く過酷な日々でした。
が、よくぞよくぞ辛抱なさったと思います。
11年も耐えられる人間がいかほどいるでしょうか?
頭が下がる思いです。













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DATE: 2009/12/29(火)   CATEGORY: 本と映画
『リンゴが教えてくれたこと』 1  

 秋冬はリンゴが美味しいですね。
An apple a day keeps the doctor away(日に1個のリンゴ、医者要らず)
との言葉もあるくらい健康にも良い果物です。




 ですが、リンゴの皮を食べるむくかでは迷われる方もあるかもしれません。
皮と実の間の狭い部分にたくさんの栄養が詰まっていると聞きます。
その一方で、皮にはたくさんの農薬が付着しており、食べるのは危険という声もあります。








 私はいま一冊の本を手にしています。
タイトルは『リンゴが教えてくれたこと』。




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 リンゴの無農薬・無肥料栽培を成功させ、
一躍時の人となった木村秋則さんご自身の著書です。





 読後はさわやかさに包まれました。
明日への希望を抱かさせてくれる本です。
 



 私はいま、1ページ目から再び読み直しています。
前半は「奇跡のリンゴ」が実るまでの苦難の半生を、
後半は、そうして得た自然栽培のノウハウや
木村さん独自の世界観を惜しみなく伝えてくれます。
農業に携わる方にはぜひ読んでいただきたい。


 また、農業や園芸にまったく興味のない方にもオススメしたいです。
人としての生き方、考え方、仕事というものを
もう一度真剣にとらえ直すことができます。





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オフィシャルHPより





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